【江戸と現代ザックリ比較】接客の鬼やでえ…江戸の職業『唐辛子粉売り』とは?

 

江戸時代 現代比較 唐辛子粉売り 職業

テヤンデイ!
IWAっす。

今回は江戸時代と現代の
『唐辛子粉売り』をザックリ比較します。

 

今では味付けには欠かせない
調味料として広く愛されている
一味・七味唐辛子。

江戸時代では、
これを専門に売り歩く
『唐辛子粉売り』が存在しました。

現代では見かけない職業ですが、
江戸では売り子たちが
その接客力でバンバンお客さんを
集めていたようです。

 

七味唐辛子と接客力。

一体どういう関係が…?

 

今記事では、

・ライズ・オブ・『唐辛子粉売り』

・バトル・オブ・『唐辛子粉売り』

・ザックリお値段比較

について触れていきます。

 

(とうがらしは旧字体で
『蕃椒』という字を書いていましたが
今回は便宜上『唐辛子』で統一します。)

江戸の七味唐辛子はカスタマイズし放題!

江戸時代 現代比較 『唐辛子粉売り』

まずは、
江戸時代の七味唐辛子について
触れておきましょう。

 

唐辛子は、
古くは紀元前のチベットで生まれ
日本には中国を経由して
慶長期(1596年~1615年)に日本に
伝来したとされています。

 

嘉永2年(1625)、
漢方薬の研究家であり薬の調合師の
中島徳右衛門が七味唐辛子の調合に
成功します。

その後、からしや(辛子屋)を創業し、
七味唐辛子を発売して
これが特大ヒット商品となります。

尚、からしや は
『やげん堀』として
現在も絶賛営業中のようです。

 

そして当時、
乱立しまくっていた蕎麦屋
うどん屋が七味唐辛子を薬味として導入
したことから、一気に庶民の間に
広がりを見せるようになります。

 

江戸時代 現代比較 唐辛子粉売り 職業

そこで登場したのが『唐辛子粉売り』

 

『七味唐辛子』や、
『七色唐辛子』と看板やのぼりを
掲げて江戸中を売り歩きました。

大きな竹筒を持っており、
その中には七味の原料が
入っていました。

この原料をその場で
ノミで突き刻んで
粉にして販売していました
ちょっとしたパフォーマンス
のようですね。

 

原料はその店によって
微妙に異なっており、
味が店ごとの特色を表すキーと
なっていました。

 

その主な基本原料は以下の7つでした。

・生唐辛子
・陳皮(みかんの皮)
・山椒
・肉桂(ニッキ=シナモン)
・黒胡麻
・麻の実
・芥子

多くの店はこの七種類を
客の好みに合わせて調合していました。

店によっては焼き唐辛子などを
使用している所もあったようです。

江戸時代の『唐辛子粉売り』とはどんな職業?

江戸時代 現代比較 『唐辛子粉売り』

『唐辛子粉売り』 画像引用:守貞謾稿

 

同じ頃、
大阪でも『唐辛子粉売り』が増え
商いの町を大いに盛り上げていました。

 

中でも甘辛屋の儀兵衛(ぎへえ)は、
その商売方法が他と比べ
一味違っていたようです。

この儀兵衛さんは
非常にユーモアに富んだ人物で、
おしゃべりが大変上手な
スタンドアップコメディ唐辛子兄貴
でした。

彼の口上の滑らかさや
喋りの上手さに人々は魅了され、
商品は飛ぶように売れました。

主に薬味調合の割合などを
客に分かりやすくテンポ良く
口上で伝えていたようです。

 

このような接客力を重視する風潮が
各地で花開き、
『唐辛子粉売り』の熾烈な接客バトル
が相次いで展開されます。

 

声を張り上げて客を呼び込む者、
人だかりの前で演説する者、終いには
巨大な唐辛子のハリボテを
肩に担いで客寄せする者まで出現し、
“唐辛子販売戦争”はお祭り状態に
突入していきます。

江戸時代 現代比較 唐辛子粉売り 職業

 

この頃、
有力大名だった内藤氏の領地でも
唐辛子が栽培され一躍有名になります。

 

この『内藤とうがらし』という
名産品の誕生もあり、
『唐辛子粉売り』の需要は更に倍増し、
一味・七味唐辛子の調味料的地位は
不動のものとなります。

 

その後『内藤とうがらし』
衰退していきますが、
一味・七味唐辛子は変わらず
作り続けられ、
現代においても欠かせない調味料と
なっていきます。

 

まとめ

最後に江戸時代と現代の
『唐辛子粉』のお値段を
ザックリ比較していきます。

 

先ほど出てきたハリボテ唐辛子
中には、袋で小分けにされた
七味唐辛子が入っており、
一袋三文(約¥60)で買うことが
できました。

この一袋の厳密な量を
算出することは難しいですが、
少なくとも現代の
家庭用小瓶サイズ=15g
くらいの量は入っていたと
仮定します。

江戸時代 現代比較 『唐辛子粉売り』

多分これくらい(自宅にありました)

ここで七味唐辛子の元祖であり
冒頭でも店名に触れました、
『やげん堀』さんの価格帯を
現代の比較対象にしたいと
思います。

こちらは一番スタンダードな
小袋27gが¥540。

これを15gに換算すると、
15g=¥300
となります。

 

これらでザックリと
比較を行ってみました。

江戸時代 現代比較 唐辛子粉売り 職業

※物価やレートの変動はご了承ください

さすがに老舗となると七味唐辛子も
大変お高いようですね。
一度頂いてみたい限りです。

 

一方市販品との比較は
そこまで大きな開きはないようです。

今回は一文¥20で計算していますが
一文が最高約¥50まで高騰していた
江戸時期もありますので、
市販品とはトントンと
いったところでしょうか。

 

 

さて、いかがでしたか?

一度でいいから売り子さんの
“フリースタイル七味ダンジョン”
を間近で聞いてみたいですね。

小江戸こと現在の川越市に
口上を行っているお店が
あるとのことなので、
唐辛子のコスプレでもして
行ってみようかと思います。

間違えて切り刻まれないように
くれぐれも気を付けます。

 

 

それでは、また次回!

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2 件のコメント

  • 七色唐辛子のお話、ありがとうございました。
    現代においても、一部面白おかしく口上を述べながらお客様の
    お好みに応じた調合を行っております。
    大阪商人のエンターテイメント的な口上はどんなものだったのか?
    探しているうちに、こちらの記事に出会いました。
    文中ででてくる肖像画は、甘辛屋儀兵衛さんですね。
    彼の口上を一度聞いてみたかったものです。
    では、ご縁があれば川越でお会いしましょう。
    七色蕃椒堂 店主

    • kenjiiwasaki1221 より:

      七色蕃椒堂 店主様
      この度はコメントを頂き誠にありがとうございます。
      ご本家の方からコメントを頂戴することができ、大変嬉しい限りです。
      重ねてこちらの知識の不足を補完して頂き、益々勉強に磨きをかけねばと身が引き締まる思いです。

      私が川越に参りました際には、必ず生の口上を拝聴する為に寄らせて頂きたいと考えております。
      その際はよろしくお願いいたします。

      それでは。

      Kenji Iwasaki

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