ショップ店員になったら飛躍的に画力が向上した話


いらっしゃいませ、IWAっす。

僕は昔、アパレルの販売員を
していたことがあるのですが、
その時に思いがけず
画力が向上してしまった経験が
あります。

ショップ店員と絵の技術って、
なんの関係もなくない?

と思われるかもしれませんが、
実際に画力がアップしてしまった
ので、是非この体験をお話ししたいっす。

人の顔が描けないポンコツ美大生

大学時代の下手な絵

下手くそな似顔絵

美大に入ったものの講義をサボって、
学外で色々な人とお酒を飲んでいた頃
僕はとにかく人間が大好きだった

そのため、当時は
人の顔をたくさん描いていた。

しかし、いくら練習しても
全く上達せず、何が原因なのか
さえも解らない状態が長く続いていたっす。

 

「自分の似顔絵には何かが足りない」
そんな思いを抱えながらも、
大学生活は終盤に差し掛かかっていた。

しかし面倒くさがりな僕は、
卒業時まで就職活動というものを
せずにいた。

画業で成功したい
という思いはあるものの、
その為にはどのようにして
生計を立てて良いものか、
当時の僕にはわからなかった。

こんな画力では食っていけない!

そこで僕は
「いきなり絵で生計をたてるのは無茶だ」
と一旦冷静になり、
まずは生活費を稼ぐために
働くことを決めた。

 

そして始めたのがアパレルの販売員

オシャレで桁外れのコミュ力を
持っている職業”という
完全なる脳内イメージから、

「カッコいい!モテそう!」

と思い、
アパレル販売員を始めたっす。

 

似顔絵の画力不足という、
個人的な一抹の不安を心に抱えながら。

モテモテではなくオラオラに

「モテたい」
などという安易な理由で
販売員を始めた僕は、
その数日後、配属先のショップで
ギッタギタにしごかれていた

 

そのショップには
めちゃくちゃ怖い先輩がおり、
僕は毎日彼からスパルタ教育を
受けていた。

商品の服の畳み方が
少しでも違おうものなら
バックルームで蹴りを入れられ、

僕の動きが鈍い時には
てめえ寝てんのか!
などとその場でオラオラと
喝を入れられた。

モテモテ人生を夢見ていたはずが
とんだオラオラ人生に
なってしまった。

 

すると、僕の中で
「俺のモテモテ人生を返せ…」
という謎の怨念がフツフツと沸いてきた。

その怨念をバネに
果敢に“オラオラ先輩”に食らいついて
必死に仕事をこなす日々が
始まった。

そんな、僕の勝手な私的感情に
まみれた戦いも数か月が経った頃、
いつのまにか僕は一端のスタッフとして
店を回せるようになっていたっす。

 

そしてある日、
僕に異動の話が持ち上がった。

 

ショップの中核スタッフになるも「全然売れない…」

悩むIWA

「売れない!ああ売れない!」


異動先のショップでの
僕の悩みの種は常にこれだった。

1年程、“オラオラ先輩”の店で
働いた後、僕は別の店舗に籍を置いていた。

 

中核スタッフとして
僕が配属されたのは、
都心から少し離れた学生街にある
ショップだった。

いつの時代も
学生さんは常に金欠なため、
いくら接客しても
お買い上げまで至ることは
毎回難しかった。

 

商品をアピールしながら
接客していると、
そのうち学校の話や流行りの音楽の
話題等に脱線してしまい、
結局2時間くらい雑談だけしていた
なんてことも日常茶飯事だったっす。

この当時は
立地条件のギャップを痛感しつつ、
接客に迷う日々が続いたっす。

当時は週一休みだったため、
絵を描く時間も少なかったっす。

 

スタッフの送別会などに
似顔絵を描く機会があったのですが、
あまりに似てなさ過ぎて
「誰だよこれ!」と笑われる始末
…。

 

この時期は
絵の面や接客面おいても
悩みに悩む辛い日々が続いたっす…。

似てない似顔絵

 

店長、珍しく良い事を言うの巻

「顔、死んどるやん (笑)」

 

異動して3カ月が過ぎた頃。
疲れ切った僕の顔を覗き込みながら
店長が笑った。

当時の店長とはとても気が合い、
バカ話もすれば真面目な話もできる
大変良い関係を築けていた。

 

テンチョウ、タスケテ…!

僕は半泣きになりながら、
ここ数か月の悩みを
彼に打ち明けた。

僕が一通り話し終えたあと、
店長は少し考えてから切り出した。

 

店長「IWAさ、最近商品をアピールすることだけに夢中になってない?」

「と言いますと?」

店長「ちゃんとお客さんの顔を見ながら対話できてる?」

「うーん…できてないかもしれないっす」

店長「せやろ」

煙草に火を点けながら、
店長は更に付け加えた。

 

店長「物を買ってもらうには、相手のことを理解するのが一番大切なんよ。その人のことをよく知らないと本当のニーズってのはこっちに見えてこないからね」

「ふむふむ」

店長「その為には、目と目を合わせてしっかりとお客さんと対話をすること。相手の表情一つとっても、こっちが気付くことは沢山あるはず
お客さんの顔が曇り始めたら、すぐに聞き役に回って不安を解消してあげるとかね!」

「…なるほど」

店長「俺全然詳しくないけど、似顔絵とか描く時もそうなんじゃないの?
表情をよく観察して、特徴とか本当のその人らしさを発見して描くからこそ本人に似てくるんじゃない?」

 

僕の中で何かがストンと
腑に落ちた気がした。

そういえば、
接客にしても似顔絵を描くにしても
その人らしさを引き出すことまでは
実践できてなかったのではないか?

「物を売ろう!顔を似せよう!」
と気持ちだけ焦って、
どちらも表面的な作業しか
してこなかったのかもしれない。
僕は少しだけ反省したっす。

 

「店長、なんか物凄く納得しました。
ありがとうございます。
たまには良いこと言うんすね(笑)」

店長「おう、がんばれ。
たまにはってなんだコラ」

一日50人以上の顔を真剣に
観察したら飛躍的に画力が上がった

まずは下の絵を見て欲しい。

これは、
僕がショップ店員を初めて
2年後に描いたものです。

それまでの絵と比べても
同じ人間が描いたものとは
思えない出来っす。

 

店長のアドバイスを受けた日から、
僕は売り場では常に笑顔でいることを
心掛けるようになった。
それと同時に、
お客さんの表情もよく観察するようになったっす

すると、
人の表情の豊かさに
みるみると引き込まれていった。

人の顔にこんなにも
多くの表情があることを知り、
改めて驚いたっす。

ショップの休憩時間には
仲の良いお客さんの顔を
何度も描いて似顔絵の練習を
するようになった。

その成果か、
この頃には色々な人間の表情を
描き分けられるようになったっす!

そして、
何がその人の顔を決定づけるのか
一発で特徴をつかむ方法
この頃に完全にマスターしてしまったっす。

 

接客面においても、
お客さんの表情を
よく観察することで
ベストな言葉選びができ、
商品をご購入頂けることが
爆発的に増えた
っす。

 

自分の表情も、
売り場では常に最高の笑顔を
キープすることを心がけたっす。

その結果、お客さんからは
「お兄さんの接客は気持ちがいい」
「あなたが勧めてくれるなら買っちゃう」
などの、ありがたいお言葉を
頂けるようになったっす。

大手ファッション通販サイトにも
スタイリングを掲載して頂けるなど、
思いがけないサプライズも起きました。

スタイリングスタッフ時

なんとかタウンのスタイリングスタッフに

 

今では
簡単な似顔絵なら1人20分程度で
描けるようになってしまいました。

 

人の顔を真剣に観察することで、
本当のその人らしさが見えてくる。

それを学んだ接客業で
画力まで向上するとは、
僕自身も驚きだったっす。

似顔絵が上手く描けない
とお悩みの方は、
まずは穴が開くまで
その人を観察してみることを
オススメします。

今まで気付かなかった
“真の特徴”
必ず見えてくるはずっす。

 

それでは、今回はこの辺で。
またのご来店を!

IWAでした

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