どうもです、IWAっす!
今回は前回の浮世絵編に続き、
オーストラリアの教材に使用される
和風イラスト新版画編のご依頼をご報告します。
ご依頼の内容は、
オーストラリアの学生向けに
“リーダーシップの大切さと、過去から学ぶこと”
をテーマに製作される動画教材用のイラストを描くこと。
第一部は『元寇』を浮世絵風に、
第二部は『戦争と平和』を新版画風に、
といった具合に二種類の作風を駆使して制作させてもらいました。
今回はその『戦争と平和』編に使用されるイラストについてです。
最終的には、
クライアントさんの個人的経験を
刺激して感動させてしまうという
奇跡の様な出来事がラストに待っていました。
ちなみに全てのイラストはこちらから見られるっす。
さあ!全俺が泣いた感動のラストに備えよ!!
そもそも新版画ってなに?
新版画とは、
明治30年頃から昭和期まで流通した木版画作品です。
制作過程は浮世絵と同様に
絵師、彫師、摺師の分業で行い、
日本各地の名所や歌舞伎役者などを
非常に繊細で陰影の強いタッチで
描かれていることが特徴です。
明治版浮世絵と覚えてもらえればOKっすね。
写実的でありながら、
ノスタルジックかつ幻想的で
現実と虚構の境目の様な雰囲気を
感じさせる“新時代の版画”です。
現代の日本アニメの雰囲気に少し近いものがありますね。
ちなみにIWAは川瀬巴水という新版画絵師の大ファンっす。
新版画イラストに込めた“継承の物語”
新版画イラストの制作内容は、
戦争終了直後と現代の様子というお題目でした。
クライアントさんによると、
戦争時の直接的描写は
デリケートな表現になりかねないとして
あくまで戦争終了直後を選んだとのことでした。
個人的に最もこだわって制作した新版画イラストがこちら。
一般的に『玉音放送』と呼ばれる、
昭和天皇が第二次世界大戦において
日本の敗退をラジオ放送した場面を描いています。
今でいう終戦記念日です。
この放送が行われた日時は
1945年8月15日正午。
天気は「抜けるような青空」
「夏の太陽がカッカと燃えている」
などの記録が残っている通り、
夏の最も熱い瞬間だったようです。
そんな眩しい天気とは裏腹に、
家の中で敗戦に打ちひしがれる夫婦。
そんな“おとなの事情”を気にも留めずに
お絵描きに没頭している娘の姿を対比して表現しました。
この家の家族構成や“不在の人物”が
今どこにいるのか(既にいないのか)等
新版画イラストの中に
ストーリーを感じさせるような構成を考え抜きました。
終戦直後の悲壮感は、
アニメ映画『この世界の片隅に』を参考にしていたりします。
ちなみに、お絵描きをしている娘は
実は次のイラスト(現代)の
女性の先祖であることを、
手に抱えている赤い防災頭巾から
推察できるように物語を設定しました↓
(上のイラストの一番左の防災頭巾です)
“平和な現代は、戦争の礎の上にある ”
という事実をイラストレーターとして
どう表現していくか。
それをIWAなりに突き詰めた結果完成したイラストです。
クライアントさんの経験がイラストと重なり感動される
そんなIWAの熱意が功を奏したのか、
クライアントの女性からは
This artwork makes a lot of sense to me! My grandmother was born in Nagasaki shortly after the atomic bombing and died of cancer at an early age. This photo reminds me of when I visited Nagasaki two years ago and made a crane.
このアートワークは私にとってとても意味があります!
私の祖母は原爆投下直後に長崎で生まれ、幼い頃にガンで亡くなりました。
この写真は、私が2年前に長崎を訪れて折り鶴を追った時のことを思い出させてくれます。
といった感動のメッセージが届きました。
IWAなりにこだわり抜いた結果、
新版画イラストが誰かの胸を打つことが出来たのです。
イラストレーターとしてこれ以上の喜びはありません。
この経験から、より一層イラストのお仕事が好きになりました。
歴史系イラストのお仕事もっと来ないかな~(チラッ)
ともあれ、この度はオーストラリアから新版画・浮世絵イラストのご依頼を頂きありがとうございました!
Kenji Iwasaki/IWA/岩崎健児
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