「海外で絵を売るならどの国が売れやすい?」
皆さんはこの質問に
どの国を思い浮かべますか?
アートといえばヨーロッパや
アメリカなどのイメージが強いですが、
アーティストとして見逃せない国が
実はアジアにも存在します。
そうです、
正解はタイトルにある通り…
台湾です。ニーハオ〜!
台湾がアート大国?
そう言われても1ミリも
ピンときませんよね。
僕も以前までは、
台湾=屋台料理ぐらいの
イメージしかできませんでした…笑
しかし先日、
台湾のグループ展に参加したことで
そのイメージはガラリと変わりました。
先に結論から言うと、
台湾のオーディエンスは
めちゃくちゃアートに積極的!
なのです!
☆賞状アップ予定
ちなみに僕の出展作品は
お買い上げに至り、
来場者投票で銀賞を頂くことが
出来ました。
そこで今回は、
これからアジアや海外での
活動を考えている画家の方や、
「自分の絵を海外に売り込みたい」
という方に向けて、
浮世絵画家の僕の絵が
何故台湾で売れたのか?
という疑問を、
・展覧会の立地
・価格のつけ方
・作品のテーマと評価
この3つの理由から
客観的に考察したいと思います。
僕自身へのフィードバックにも
なればと思っているので、
体験記として気軽に読んで頂ければ
嬉しい限りっす。
“台湾のデザフェス”、駁二芸術特区とは?
Author Chi-Hung Lin/ Link
僕が台湾への出展を決めた理由は、
画家活動未経験の国だったので
自分の浮世絵スタイルの作品に
どんな反応がもらえるかが楽しみ
だったからです。
前々からお付き合いのある、
今展示の主催者であり
アーティストプロモーターの
Mayumiさんから、
お誘いのお話を頂いた際には
即答で「やる!」と返事をしました。
展覧会詳細はコチラ↓
ART TAIWAN & JAPAN 2019
会場となったのは、
台湾の高雄市にある
駁二芸術特区(高雄市アートセンター)。
→読み方:ばくに芸術特区
こちらは、
1973年に船の貨物保管用として
開業した倉庫エリアを、
アーティストの表現の場として
リノベーションしたアートエリア。
右:Author Chi-Hung Lin/ Link
多くの倉庫がアートギャラリーと
なっていて、
屋外にも様々な立体作品や
モニュメントが所狭しと
展示されているいわばアートの解放区です。
観光地としても人気があり、
旅行会社のHPやメディア等で
特集が組まれる程のホットスポットです。
自由な表現がひしめき合うその様子は
日本のデザインフェスタギャラリーを
更に巨大に拡張したような印象を受けます。
高雄市のまちづくりと
地域文化発展の一環として
盛り上がりを見せているこの施設は、
芸術家達の発表の場であると同時に
国民がアートを身近に感じられる
重要なエリアです。
中国の行政機関主導で
開発が進められたという経緯も、
日本以外のアジア地域が
いかにアートを重要視しているかが伺えます。
Author 寺人孟子/ Link
台湾には、
歴史文化と創造性を結びつけて
新しいものを生み出そうという
『文創』という理念が存在します。
この理念のもと、
古いワイナリーや日本統治時代の
酒工場をリノベーションした
華山1914文創園区(台北)
というアート商業施設も存在し、
様々なイベントや催事店が開かれています。
こちらはアートギャラリーや
アートカフェ、おしゃれなショップが
軒を連ねるエリアで、
週末は若者でごった返すほどの
盛り上がりを見せているんだとか。
☆ ☆ ☆ ☆
このように台湾には、
国をあげてアート領域を
重要視している現状があり、
国民がアートに触れられる機会が
無数に存在します。
日常にアートが溢れる台湾。
その中でも美的感度の高い層が
集まる高雄市アートセンターで
展示を行うことは、
立地の面では申し分ないかなと思いました。
Mayumiさんも
あえて都市の台北市ではなく、
話題性及び反響を呼びやすく、地元に密着しやすい第二・第三都市と呼ばれる都市に着目しました。
と言っており、
その意向は遺憾なく成功していました。
お洒落で個性的な建物や
様々なアート作品もあることから、
“SNS映え”する写真もたくさん撮れ、
それらを拡散することで
どんどん人を呼び込めそうな
スポットですしね。
このことから、
僕の浮世絵アートが売れた
1つの大きな理由としては
まずは駁二芸術特区という
アートに有利な立地であった点が
挙げられます。
個展や展覧会を開くなら、
芸術やアートに興味がある人が
多く集まる都市・スポットに
焦点を当てた場所選びをする。
これは海外と日本国内の活動の
どちらにも共通する重要な要因であると言えます。
絵の価格設定を海外スタッフと相談するメリット
日本でも海外でも、
絵の売れ行きが分かれるのは
もちろんそのお値段。
そこで、
日本よりもアートが盛んな
海外の各国で出展販売を行う場合には
必ず現地のギャラリースタッフと
絵の値段を相談し合うことをおすすめします。
何故なら、
海外ではギャラリーによって
取り扱うジャンル・理念・価格帯が
驚くほど細分化されています。
そのため、
出展するギャラリーの特徴をきちんと
掴んだうえで適切な価格を付けないと
まず販売に至ることはないです。
主催者やギャラリースタッフなど、
現地の雰囲気や来場者の購買意欲を
把握している人と相談しながら
絵の価格を設定することで、
お客さんがあなたの作品を手に取りやすくなります。
では今回僕が出展した、
駁二芸術特区の『漾藝廊』という
ギャラリーの様子はどうだったのでしょうか?
初日から勢いよく数点が頒布(売約)に至り、購入者は驚く事に若い二十代から六十代までと、あらゆる世代の層の購入者がおりました。
これはMayumiさんからもらった
開催初日の様子が綴られたレポートです。
このことからも分かる通り、
アートに敏感なお客さんが
事前の告知を聞きつけて
購買目的で初日に押し寄せています。
僕の絵もこの初日で売れ、
会期終了まで売約済みマーク付きで
展示されていました。
ちなみに僕が出展した絵の値段を
比較検討の為にぶっちゃけると、
日本円で¥35,000の値が付き
販売に至りました。
(364×515mm B3サイズ)
スタッフの意向では、
“手に取りやすい値段”という
判断での価格設定です。
この『漾藝廊』があるエリアは
英語でYounng Art Spaceと呼ばれ、
若手の芸術家が多く発表を行う区画です。
そのため若い年齢層の来場者も多く、
彼らにも購買チャンスがある
良心的な値段をつける必要があった点が
初日の報告からも分かります。
現地の雰囲気や特徴を
100%把握しているスタッフと
価格の相談をすることは、
海外のギャラリーで絵を売るうえで
とても重要です。
こまめに連絡がとれる状況ならば、
彼らに最低希望価格を伝えたうえで
値段のアドバイスをもらうと
販売の確率はグンと上がります。
ちなみに日本のギャラリーで
個人の絵が1枚¥3,5000で売れることは
そうありません。
“手に取りやすい値段”が
台湾と日本でこれだけ異なることに
驚きですね。
台湾では絵の”色や雰囲気”が評価される
最後に僕の浮世絵アートが、
台湾でどういった評価を受けて
販売に至ったのか?をお教えします。
僕の作品のみに関しての評価なので
こういう絵が台湾で売れる!という
訳ではありませんが、
今後の作品制作のヒントにして
頂ければと思います。
主催者のMayumiさんの報告を
交えて解説します。
今回の展覧会、とにかく大絶賛でした。
売れた後に何人にも「私が買いたかった」と告げられ、また「
他の作品がまだあるなら見せて欲しい、売って欲しい」 という声をかけられました。 「どうして1点のみなのか」など、
色々な意味で要望を頂きました。
上記の様に何人かのお客様に
目を付けて頂き初日の売約後にも
何件もご要望があったそうです。
今回は1点のみの出展だったためか、
「もっと色々な浮世絵アートが見たい」
というお客様の想像力を掻き立てた結果となったようです。
浮世絵的な世界観と、現代的タッチがうまく調和されている。
色彩も渋みの中に華やかさがある。
こういったお声から、
台湾では見た目のコンセプトが
しっかりと確立されているかや
パッと目をひく色味かどうかが
ニーズの一つであることがわかりました。
ちなみに今回出展した作品には
『生態系を守る』というテーマを
込めたのですが、
テーマ性に関する言及は特になく
見た目の色や雰囲気が販売の決め手
となったようです。
美術関係者から一般層まで全てに支持されていました。
私(Mayumiさん)、個人的にも今回の作品、とても気に入りました。
台湾では2016年に
大規模な浮世絵の展覧会が開かれ、
大盛況を記録したことから
一般市民から美術関係者に至るまで
浮世絵への親和性はある程度高いようです。
(こちらのウェブサイト様に当時の関連記事があります)
ここからも分かる通り、
浮世絵はもはや日本やヨーロッパ
だけではなく台湾などのアジア地域にも
浸透していることがわかります。
このように、
浮世絵に親しみのある台湾で
・僕の作品の現代的な色味
・浮世絵的雰囲気
を気に入って下さった方が多数現れた
ことが販売に至った理由の一つだと言えます。
まとめ
いかがでしたか?
浮世絵画家の僕の絵が
台湾で売れた理由は以下の3つです。
・駁二芸術特区というアートの好立地
・現地を知り尽くした台湾スタッフと相談して決めた価格
・見た目の色味や雰囲気を重視した作品評価
僕自身の経験に基づいているので
海外全てにこの条件が当てはまるとは
限りませんが、
これから海外出展を考えている方は
是非参考にしてみてはいかがでしょうか?
台湾、オススメっすよ~!
それではまた!
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