『扇子』の和風・浮世絵風イラストの描き方3ステップ

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

こんにちは。

今回の浮世絵風イラスト講座は
『扇子』の描き方を説明していきます。

 

江戸時代、
扇子は風を起こして涼をとる以上に
舞妓や落語などの芸事に欠かせない
アイテムでした。

護身用に開発された『鉄扇子』という
鉄製の武器も存在していたようで、
格闘アニメさながらの激アツ感を
禁じえません。

 

『扇子』 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

僕も子供の頃、
時代劇などで殿様がよくやるような
片手で扇子をバッ!と開いて
ソヨソヨと自分の顔を仰ぐ仕草に
大変に憧れていたっす。

 

ある日、父の古い扇子を借りて
この片手でバッを真似てみたところ
意外にも簡単にできたので、
嬉しくなって何度もバッ
やっていました。

片手でバッ! 片手でバッ!
(以下50回くらいループ)

片手でバリッッ!!

 

「あっ!?!?!」

父の古い扇子は
中央の和紙部分から縦に綺麗に裂け、
仰いでも風が起きない扇子となって
その短い生涯を閉じたのでした。

僕はそっと亡骸となった扇子を
元の場所に戻し、
父にもそのことは告げずに
あれから20年以上の時が経ちました。

今度実家に帰った時に
父と扇子に謝ろうと思います。

 

そんなこんなどんなやねんで、
浮世絵風イラスト講座:『扇子』編
スタートです!

(今回アナログで描く方は、
分度器やコンパスがあると
描きやすいっす!)

 

開閉角度は100°が浮世絵的描き方

『扇子』 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

『風俗三十二相 にあいさう』月岡芳年/出典:国立国会図書館デジタルライブラリ

お手本となる浮世絵はコチラ!

 

一応この作品を3行で解説しますと、

男が遊女のコスプレをして、
ニヤニヤしながら
『吉原』の祭りに参戦する図

です。
どう見ても素晴らしく変態です。

 

江戸の女装男装文化については
また他で触れるとして、
注目して頂きたいのは
扇子の開いた角度です。

作品にもよりますが、
浮世絵に描かれている扇子は
大体100°〜120°の角度で
開かれている場合が不思議と多いです。

実物の扇子を検索してみると
明らかに120°以上で開かれています。

したがって、
浮世絵内の扇子の黄金開閉角度
100°〜120°であるっっ!

と勝手に認定します。

 

これを基に基本の形を
描いていきます。

両端の骨(親骨)は
両端の角度を100°〜120°で設定し、
太い箸のような
形状で描きます。

2本の親骨が交わる部分は
(かなめ)を描いて固定させます。

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

次に和紙で出来ている扇面
描いていきます。

と、ここで
「他の骨は描かないのでござるか?」
と思われるかもしれませんが
順序的に扇面を先に描いた方が
あとあと楽なのです。

中骨は次のステップで描いていくので
ご安心ください、でござる。

 

まず扇面の大まかな形を
描いていきます。

(かなめ)の部分を中心に
両親骨のやや外側あたりまで
コンパスなどで半円をひきます。

扇面の大きさはお手本を参考に、
風を送る外側の半円と
手元側の半円の2つとを描きましょう。

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

次にこの2つの半円に
山折り谷折りをつけていきます。

お手本の扇面の外側を見てみると、
山=9つ(両端含む)
谷=8つ
であることがわかります。

『扇子』 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

これに従い、
先程描いた外側の円に谷折り用の
くぼみを8つつけていきます。

を中心に、分度器とコンパスで
くぼみの角度を計算して
あらかじめ補助線をひいておく
均等な山谷が描けます。

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

手元側の円にも山谷を描いて
折り目をつけたら、
基本形は完成です!

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

次は親骨の間にある、
複数の中骨(なかぼね)を描いていきます。

 

【重用】中骨部分の描き方

扇子全体がきちんと開閉するように
扇面に取り付けられているのが
中骨。

その名の通り、
親骨の中に配置されている骨です。
形状は親骨よりも細くすると
描き込みやすいっす!

 

中骨は、
先程描いた扇面外側の
山谷部分の折返し面に糊付け
されている
とイメージします。

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

上を参考にしながら、
から分度器などで
角度を調整して描くと
違和感のない骨格を表現できます。

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

扇子はその骨格をしっかりと
描くことでイラストの説得力が
増します。

これは浮世絵風イラストにも
シンプルなイラストにも
共通する描き方です。
粘り強く精査しながら仕上げて
いきましょう!

 

線画ができたら
次は着色していきます!

山折り谷折りの区別をはっきりつける

扇子のイラストの着色は
ある一点だけ抑えておけば
とても簡単です。

それは、
山折りと谷折り部分を
別の色で塗り分けること。

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

光があたっている面は
明るい色で塗り、
その隣の面は影になるので
やや彩度を上げるか
黒を少し混ぜた色で塗ります。

扇子 和風・浮世絵風イラスト 描き方 Kenji Iwasaki 岩崎健児

 

いかがでしょうか。
粋にいなせにセンスよく
描けたでしょうか?

最後に今回のおさらいです。

・開閉角度は100°〜120°が黄金角度!

・扇子の構造を理解したうえで骨格部分を仕上げる!

・扇面の山谷部分は必ず塗り分けてメリハリを!

 

是非皆様に楽しんで描いて頂ければ、
20年前に亡くなったIWA家の扇子も
成仏できるかと思います。
(扇子さん本当にごめんなさい)

 

それではまた次回!

▼ご依頼・ご提案・取材のお問合せはコチラ▼

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です