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山で遭難したら絵の作風が変わった話



捕食される!本当に死ぬ!

Hi! IWAっす!
日常生活の中でそんな思いをしたこと、皆さん絶対ないですよね?(早急な断定)

生活環境が整備された町や都市に暮らしている以上、何かに捕食される恐怖は皆無と言っていいのではないでしょうか?
もちろん、山奥で暮らしているだとか、動物園からライオンが逃げ出したなどの特殊なケースは別ですが。

 

僕はショップ店員時代、友人との登山を趣味にしていたっす。
その時に「死ぬ!」と本能的な恐怖を感じたことがあるっす。
そしてそれが、その後の自分の価値観を大きく変えてしまうことになってしまったっす。

山は友達


当時、僕は山が大好きだったっす。
山にいると肌が直に呼吸を始め、頭の中の霞が晴れていくようだったっす。
体が軽くなり、肺が澄んでいくような不思議なその感覚が大好きで登山はやめられませんでした。
そして山頂に辿り着いた時の達成感は、何物にも代えがたい実感があるっす!

その頃は山に完全に心を奪われ、

「山は友だちや!
友だちは山や!」

と思っていたっす。

そのため、本当に友だちの家に行くような私服でフラフラ山に入っていたっす。
今思うと本当に浅はかでした。

僕たちは関東地方を中心に様々な山に登っていました。
茨城県の八溝山、筑波山、妙義山などの比較的低い山を制覇した後、もっと高い山に登りたいと思うようになったっす。

僕と友人は相談の末、山梨県にまたがる標高2230mの瑞牆山(みずかきやま)への登山を決意したっす!
高い山に登れることに前日はワクワクしてなかなか眠れませんでした。(笑)

当日、車で山の麓まで行きいざ登山!!

 

 

いざ…!

いざ…?

いざ…

おや…?

登山口が見付からない

瑞牆山には登山口がいくつかあり、
様々なコースが入り乱れて存在するっす。

その中から僕たちは初級者向けコースに目星を付けていた。
登山口がありすぎて初級者コースが見付からず、1時間弱ほど車で麓をグルグル回っていたっす。
ようやく登山口を見つけ、登り始めた時には14時を過ぎていたっす。
下山を考えると、登り始める時間としては非常に遅い時間でした。

 

それでも僕たちは、

ここは友だちん家や!

 山は友だちや!

 友だちは山や!」

 

という独自の浅はか路線を爆走していたっす。
今思うと本当に怖いことをしていたなと反省しているっす。

ここ、どこ?


登山道には序盤から岩や奇岩がゴロゴロ転がっており、前日の嵐で倒木が放置されていたりと、中々のサバイバル感に僕たちは興奮したっす。

呑気にスマートフォンで写真を撮りながらノロノロと登っていったっす。
当時使用していたスマートフォンは、経年劣化でバッテリーの無くなる速度が驚くほど速く、山の中腹まで登った時点で電池残量は半分をきっていたっす。

山頂の写真を撮りたかった僕は、バッテリーを温存する為にスマートフォンの使用を控えることにしたっす。

2000m級の山にヒーヒー言いながらなんとか山頂に到着する頃には、16時を過ぎていたっす。

さすがは日本百名山の一つで、景色は最高でした。


頂でしばらく過ごした後、
下山することに。


徐々に暗くなっていく山道を、 僕たち2人は急いで下った。 登山というものは不思議で、下りは登りの半分の体感時間に感じられるものっす。
中間地点の車道を横切った頃、辺りは薄暗かったものの完全な闇ではなかった。
そのため、このまま順調にコースの目印である赤いビニルテープを追って下りていけば何も問題はないだろうと僕たちは考えていたっす。

そのまましばらく歩いていた頃、
僕の足はふと止まった。

 

赤いテープがない

 

目の前をよく見てみると、
登ってきた覚えがない獣道が続いていた。

 

お?

 

僕は後ろを振り向いて友人に尋ねた。

僕「その辺に赤いテープない?」

友人も足を止めて辺りを見回した。

友人「ないな」

コースを外れたのかと思い、少し戻ってみたもののテープはなかった。
というより辺りは既に暗闇に包まれており、視界が遮られていた。

とりあえず明かりを点けようと僕はスマートフォンを取り出した。

バッテリーは0%だった。

山頂にいた時点で残量10%を下回っていた僕のスマホは
下山を始めてしばらく経ったところで力尽きたようだった。

友人が携帯を取り出したが、なんとガラケーだった。
その弱々しい光は足元を照らすので精一杯だった。
もはやどこを通ってきたのか、皆目見当がつかなかった。

暗闇の林の中で僕たちの思考は一瞬停止した。

焦りが背中の辺りから走り出し、心臓の鼓動を加速させた。
そしてジワジワと現在置かれている状況を理解した。

 

僕「やばい

 

帰り道がわからない

何かいる


思いがけず遭難してしまった僕たちは絵に描いたようにテンパったっす。

 

IWA「まずいまずいまずい…!

友人「とととりあえずどこでもいいから下ろうぜ!

IWA「ばか!余計迷うわ!

友人「じゃあどうするよ?!」

IWA「こういう時は絶対動かない方がいいんだ、朝になるまでここで野宿して、明るくなってから下山道探して帰れば全部解決!よし、決定!!就寝!!!」

友人「俺、明日ライブ出演するから無理!今日中に東京戻れないのはマジ勘弁♪」

IWA「おめえあああああ!!

 


…ガサガサガサガサ!!!

 

高校時代からの友人関係があやうく崩壊しかけたその時、彼の背後の高さ30cmほどの草むらが横一線に動いたのを僕は見た。

都会のぬるま湯に浸かり、ふやけきっていた僕の生物的本能が一瞬にして硬直した。

IWA「いるいるいる!なんかいる!!

友人「え?」

友人が振り向いた時には草むらは微動だにせず静寂を取り戻していた。
瑞牆山は鹿の生息地であり、至る所に糞が落ちていた。
僕らが立ち往生している位置から、更に峠を越えた山奥には熊の目撃情報まで出ていた

 

 

こうなると人間の想像力は悪い方向へと猛スピードで転がり始める。

今草むらを走っていったやつは、
タヌキくらいの小動物だろう。



タヌキがいるなら熊もいる!!

タヌキ=熊という安直すぎる方程式が脳内で組み上がり、僕の恐怖レベルは臨界点を突破した。

僕らは身動きせずに耳を澄ませた。

 

風に葉がこすれる音。

木の枝が軋む音。

小枝が草むらに落ちる音。

小動物のかすかな鳴き声。

 

夜の山は驚くほど多くの音に溢れていた
今まで見たことのない山の姿。
それは、僕たちを今にも飲み込んでしまおうかと企てているかのような、冷たく残忍な姿だった。

「山は友だち」

僕は自らの考えが間違っていたことを知った。
運が悪ければ、ここで捕食されて…死ぬ!

ペペロンチーノの味

9月とはいえ、夜の山は冷え込んだ。
半袖短パンだった僕は寒気を感じた。

 

IWA「とりあえず火起こそう。獣除けにもなるし」

友人「山火事になるからやめようよ

IWA「…」

 

呑気な友人を無視しつつポケットにあるライターを取り出して、数回鳴らすもオイルがなくなったようで全く点火しなかった。

 

友人「…お前の持ち物何も役に立たないな」

友人は自分のライターを取り出し点火してみせた。

IWA「…」

 

自分の不甲斐なさに遠い目をしていたその時。
友人がカバンからヘアスプレーを取り出し、噴射しながらライターの火に引火した。

 

IWA「なにして」

 

ヴォオオオッ!!

 

一瞬、辺りが明るくなるくらいの火の玉が友人の手元から発射された。

友人「これ熊除けになるじゃん!」

IWA「や、山火事になりそうだけどグッジョブ!!」

即席の火炎放射器を手に入れた僕らは、若干元気を取り戻した。

すると、それは突然やってきた
突然遠くから低い音が聞こえ始め、段々とそれは近付いてきた。

友人「お?」

IWA「車の音?」

やがて車のエンジン音だと分かるくらいにそれはすぐ近くまで来ていた。
そして先程下りてきた斜面の上の方に、ほんの一瞬ライトが煌めくのが見えた。
車の音は離れていった。

 

IWA「今のってあの中間地点の車道だよな?」

友人「間違いない!ここ登っていけば車道に出るから道沿いに行けば駐車場戻れる!ファイナルアンサー!!

何故友人がファイナルアンサーを出したのかは不明だが、僕たちは下ってきた道をひたすら上に登り始めた。
すると、なんと2分もしないうちに中間地点の車道まで戻れた。

 

場所を確認すると、僕らが迷った場所は下山道から2m程外れていただけだった
暗闇で目が効かず、てっきり山奥に迷いこんだと思っていた僕らは拍子抜けした。

それから車道に沿ってルートを迂回し、無事車の止めてある駐車場まで戻ることができた。
車内の時計は20時半を過ぎていた。
およそ2時間、夜の山の中で立ち往生していようだった。

 

空腹を感じた僕は、車内に置いてあったコンビニのペペロンチーノを友人からもらって一口食べた。

 

IWA「う…うめ…うえええん!!(泣)

 

無事に帰ってこられた安堵感とペペロンチーノの味がごちゃ混ぜで押し寄せ、僕は号泣してしまったっす。(笑)

それを見た友人は腹を抱えて爆笑していた。

そして無事に僕らは東京へと帰れたっす。

遭難したら作風が変化した

これはおまけのような出来事かもしれませんが、遭難した前と後とでは自分の描く絵の作風が変わってしまったっす!

遭難前までは、僕はこのように人工物ばかり描いていたっす。

しかし遭難した後に描いた絵は、このように自然物を取り入れた作品が多くなったっす。

意図した訳ではなく、無意識に自然に対する敬意が芽生えたのではないかと思っているっす。

表現の幅が広がったという意味では、中々できない貴重な体験だったのかもしれないっす。

 

ただ、それ以上に自分の行動を反省しました。
遭難後は少し山が怖くなり、しばらく登山は控えているっす。
もうあんな怖い思いはごめんっす…。

皆さんも大自然に近付く際は、くれぐれもお気を付けくださいね…。

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