【江戸と現代ザックリ比較】「肉は食べものではない」江戸時代の『獣肉屋』は屁理屈上等!

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

テヤンデイ!
IWAっす。

今回は江戸時代と現代の
『獣肉屋』をザックリ比較します。

 

『獣肉屋』とは
現代でいうジビエ料理の店です。

鹿肉、猪肉、馬肉などの獣肉を調理し
提供する店を総じてそう呼びました。

現代でも、
これらの肉を気軽に楽しめる飲み屋
などが肉マニアの方々の間では
大変人気のようです。

 

飛鳥時代の仏教伝来以来、
「食べると穢れる」という理由から
日本での獣肉食はタブー
されてきたっす。

しかし、
「それでも肉が食いたいんでい!!」

という肉への並々ならぬ執念を
滅しきれない江戸っ子たちは、
ある驚きの方法で獣肉に
ありついていたようです。

 

今記事では

・そ、そんな肉まで食べてたの(引き気味)

・超へりくつ!いいからお肉食べろ!

・お値段のザックリ比較

について触れていきます。

生類憐みの令と江戸の食肉事情

江戸時代 現代比較 『水茶屋』

わんちゃんを守れ! 北斎漫画/葛飾北斎

そもそも江戸に獣肉食の文化が
広がったのは江戸時代も末期に
なってからでした。

仏教の影響で人々には、
肉食=アカン
という概念が既にありました。

 

そこへ追い打ちをかけるように、
第5代将軍徳川綱吉が『生類憐みの令』
発令します。

要約すると、
“捨て子や老人、犬を手厚く保護せよ。
あと生物全般への殺生も禁止な
という法令でした。

これにより、
更に人々の間に肉食アカン感
刷り込まれていきます。

 

しかしそれと同時に、
庶民の食生活・狩猟行為に打撃を
与えかねないこの法令に江戸市民たちは、

「ちょっと何言ってるかわからない」

と半笑いで将軍をディスッたそうです。

 

そのため、
もちろんこの法令が遵守されることはなく
人々は隠れて魚釣りや狩猟を楽しみ、
バンバンに幕府をおちょくり倒します。

そのため『生類憐みの令』
発令後20年の間に135回も追加禁止令
が発布されました。


江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

案の定、綱吉の死後に法令は
一部を残して完全に廃止されます。

 

しかし、
肉食に対する強い拒絶感は
庶民の間に未だ強く根付いており、
その後100年以上獣肉文化が
江戸に定着することはありませんでした

幕府内やオランダの出島などでは
コッソリ食べられていたようですが、
市民権を獲得するのはまだまだ先の
ことでした。

“衝撃的”な江戸の獣肉屋のお品書き

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

『ももんじ屋』の元祖の『豊田屋』が改名して現在は『ももんじや』に。(ややこしい)/東京都墨田区

時代は天保(1831~1845)に遷り、
ようやく獣肉料理を専門に提供する店が
現れました。

『ももんじ屋』『けだ物店』と総称して
呼ばれたその店は、
多種多様な獣肉を火鍋や味噌漬けにして
客に振る舞いました。

その元祖中の元祖は『豊田屋』。
今ではズバリももんじや
店名を変えて営業しています。

 

さて、気になる当時のメニューですが
現代では身近なものから
完全にアウトなものまで存在していました。

まず、牛・馬・鶏・
我々現代人にも身近なお肉です。

次に猪・鹿・雁(がん)
好きで食べる方は現代にもいます

狸・熊。
レシピ自体は現代にもあります。

カワウソ・オオカミ。

カラス・キジ・鶴。
えっ

サル・ハト・リス。
ええええっ

スズメ・ウサギ。
江戸庶民は化け物やっ!
動物たち逃げてー!!

 

などなど。

衝撃的な食材が並んでいますが、
特に鳥類が好んで食べられたそうです。

中でも鶴は一級品として
ありがたく食されていたようです。

現代では絶滅危惧種の鶴。
江戸時代に食べ過ぎたせいで
こんなに数が少ないのでは?
と勘ぐりたくなるっす。笑

 

ちなみに当時はウサギも
鳥扱いにするために、
1羽、2羽と数えたのが
ウサギの単位の始まりだそうです。

江戸よ…

そこまでして肉を食いたいのか…

 

江戸の『獣肉屋』の屁理屈をまとめてみた

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

『山くじら』は猪の隠語でした。 名所江戸百景 びくにはし雪中(冬の部)/歌川広重

獣肉専門店がメジャーになったあとでも
庶民の間には未だに肉食に対して
気まずい空気が蔓延していました。

更に、この頃は公の獣肉の販売は
規制の対象となる可能性すらありました。

 

そこで、『ももんじ屋』たちは
現状打開の為に以下のようなポリシーを
掲げます。

「獣肉は滋養強壮に効くお薬です!」

「「食べ物ではありません!!」」

 

そうですね、
屁理屈としては最低レベルのやつですね。

これにより
一般庶民の獣肉食への抵抗感を和らげ
そのうえそれぞれのお肉、…ではなく
お薬に隠語までつけてしまいました。

ここで、
代表的な4つの隠語をご紹介します。
楽しい屁理屈と共にお楽しみください。

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

 

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

 

 

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

 

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

ここまでくると、
屁理屈どころのレベルではありません

新しい概念か何かでしょうか。

 

ですが、
この隠語のおかげでお客が入るようになり
獣肉文化はやっとのことで日の目を見た
のだそうです。

まとめ

最後に当時のメニューと
現代のメニューの価格とを
ザックリ比較してみました。

 

現代の比較対象は、
先ほど記事の中で触れた
墨田区にある『ももんじや』さん。

今回は1文=20円で算出し、
最も食べられていたと思われる
猪・鹿・熊鍋を比較しました。

江戸時代 現代比較 『獣肉屋』

※物価やレートの変動はご了承ください

江戸時代の価格設定は、

(小鍋)50文、
(中鍋)100文
(大鍋)200文

とほぼ一律の価格の記録が
残されています。

しかしなどは
この中でも個体数が少なく、
希少価値が高かったのでは?
という推察も交えて価格を設定
してみました。

 

江戸末期ということもあり、
1文=20円以上ということも
考えられるため、
実際の価格は更に高騰していた
とも推し量ることができます。

ただし、やはり
今も昔も気軽に食べられるような
値段ではなかったことが伺えます。

 

 

さて、いかがでしたか?
なんだかとても動物を大切に
したい気持ちになりました。

ウサギちゃんもリスちゃんも
僕は絶対食べません。

 

それではまた次回!

▼ご依頼・ご提案・取材のお問合せはコチラ▼

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です