【浮世絵付き】『永遠の僕たち』を3分でレビュー

 

映画 浮世絵 似顔絵 永遠の僕たち

今日も今日とて映画に特攻!
どうも、HARIBOをカミカゼ的速さで永遠に食い続ける男、IWAっす!

 

本日は『永遠の僕たち』を3分レビューっす!
傑作『エレファント』に人生を狂わされたと言っても過言ではない、ガス・ヴァン・サント監督ファンのIWA。

これまでガス監督の作品は欠かさずチェックして参りましたIWAが、
今回の『永遠の僕たち』を果たしてどのように観たのか。お楽しみに!

 

それでは、3分映画レビューっす!バンザーイ!

死が二人を別つまでの愛しい時間

他人の葬儀への列席を繰り返す主人公イーノック。
見ず知らずの故人の告別式で彼が出会ったのはどこか浮世離れしたアナベルという少女だった。彼女はガンにより余命3ヶ月を宣告されていたが、イーノックは彼女の不思議な魅力に次第に惹かれていく。

 

死のモチーフを描きながらも、全編に漂うのは浮遊するような多幸感だ。
これは登場人物の誰もが死を身近に認識しており、作品自体がそれを決してネガティヴに捉えてはいないからである。
だからこそ、やがて訪れるであろう離別の日がどうか一日でも遅く2人を迎えることを観客は願って止まないのである。

“死”に向かっていくアナベルの悲壮感は極力描かず彼女はいつでも輝く様な笑顔を見せる。
反対に”この世に取り残されたこと”に強い悲しみを抱いているイーノック。
彼が見せる表情に観客は引き込まれ、彼の感情を推して涙する。
監督特有の極端な接写を多用したカメラワークが、彼の心情全てを映し出している様で悲しくも美しい。

劇中語られる「地球の歴史に比べたら私の人生なんて3日くらい」という台詞は、万人に当てはまる事実である。
そしてこの台詞は、我々が抱える死に対しての恐怖をほんの少し和らげてくれることだろう。

葬儀にてアナベルの顔を思い浮かべた彼は涙ではなく、笑みを浮かべる。
これは最後まで自由に飛び回り、そして花の様に散っていったアナベルを思い出したイ―ノックが生きる希望を思い出したからだ。
爽やかさと切なさが同居した、大変印象深いシーンである。
故人にとって、笑って思い出されるということはこれ以上ないはなむけだ。

 

一方、この作品は”二人だけの狭く幸せな世界”を描いている。
そのため二人の個性的なデートやお遊びを愛おしく思えない観客にとっては、作品自体に拒否反応を起こしてしまうのではなかろうか。
また、”二人だけの狭く幸せな世界”を描くことに重点を置きすぎており、他の人物への作品的配慮が全く成されていない。

特にイーノックがアナベルの姉に初めて会うシーン。
この時のイーノックの対応はどう見ても相手に対して失礼であるし、いくらなんでも好感が持てない。
これでは余命わずかな妹を、この男には任せられないと思うのは当然である。
また、アナベルがヒロシに向かって言う、長崎に関しての台詞も「ヒロシには辛い過去がありました」という観客に向けての説明以上に必要性があったのかどうか疑問だ。

 

上記の様に箱庭的世界から生じる多少のイタさはあるものの、それはガス監督の持ち味とも言えるので、ファンには気にならないだろう。
大切な人の死を経験した者に、少しだけ温かく寄り添ってくれるポジティブな作品であることは間違いない。

それでは今回はこの辺で!
HARIBO買いにコンビニに特攻してくるっすー!

 

2017.9.12

Kenji Iwasaki

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