【浮世絵つき】映画『ザ・プレデター』を3分レビュー

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こんにちは、IWAっす。

今回の浮世絵付き3分映画レビューは
『ザ・プレデター』です。

 

1.あらすじ

2.レビュー

3.まとめ

の順でトントンと
レビューしていきますので
サクッと読んじゃってください。

それでは狩猟開始~!

※ネタバレ多め

 

あらすじ

元特殊部隊の傭兵クイン・マッケナ(ボイド・ホルブルック)は、メキシコのジャングルでの任務中に謎の飛行船と遭遇する。墜落した飛行船から地球外生命体のものと思われるマスクと装置を回収し、秘密裏にアメリカの自宅に発送しみずからも帰国する。
同じ頃、進化生物学者のブラケット(オリヴィア・マン)は政府の極秘機関スターゲイザーに召集され”プレデター”と呼ばれるエイリアンの存在を知らされる。
程なくしてクインの自閉症の息子ローリー(ジェイコブ・トレンブレイ)は、自宅に届いた”プレデター”の装置を起動し天才的頭脳を用いて言語を解読してしまう。
装置の起動によって目覚めた”プレデター”はスターゲイザー基地を壊滅させ、ローリーのもとへ引き寄せられる。
それを阻止しようと、PTSDの元軍人たち”ルーニーズ”と手を組んだクインは息子の元へとひた走るのだった。

 

今までとは一線を画すプレデター映画

とにかくてんこ盛り

観終わった後にようやく一息つけた
くらいで、鑑賞中はまるで
多国籍料理のビュッフェ会場を
時速100キロのセグウェイで
無理矢理10周させられたような気分だった。

ただし、これは決して悪い意味ではない。

 

第一作目の『プレデター』は、
『コマンド―』での存在が好評だった
シュワちゃんの肉体美を堪能する
まさに「マッチョ礼賛!」な
アメリカ的映画だった。

しかし今作の活躍の軸となるのは、
“ルーニーズ(ルーム2)”という
PTSDを患った元軍人チームで、
決して真っ当なヒーロー像とは
言い難い男たち。

 

不謹慎なジョークや下ネタを
常に喋り倒す連中だが、
実はその下品な振る舞いは
自身の心の傷を隠すためのもので
あることが徐々に分かってくる。

主人公のクイン自身も、
父親として息子と向き合えない欠点
を常に負い目に感じている。

彼が戦いの最中に息子に漏らす、
「俺自身も俺の期待通りには
育っていないのさ」
という台詞には思わず泣かされてしまった。

不完全な男性性
それを今作に加えたことで
今回のプレデターはグッと
現代的な空気をまとった作品となった。

 

ルーニーズ達の
スラップスティックな会話劇は
物語に緩急を与え、
残虐な殺戮場面が頻出する今作に
おいて見事な緩衝材になっている。

コーヒーカップをどこに置くかの
くだりや、出陣前に腹を壊すなど
「このシーンは必要なのか?笑」
と思うほどの情報量で畳み掛けて
くる。

しかしこの過多と思えるほどの
コメディシーンには、
彼らに感情移入させることで、
終盤の全滅シーンを悲壮感に
見せる狙いがある。

中盤まで、
「今回は全滅はないのでは!?」
と期待していたIWAはまんまと
裏切られ、この最高のチームの
最期を非常に惜しく思ったっす。

 

今作は過去作とのつながりも示唆された
正統なプレデター作品の続編だが、
従来よりも人間側に寄ったおかげで
多角的なバランスのとれた作品となった。

 

流行の”ハイブリッドSF”に沿った作りについて

『スカイライン-奪還-』や『第9地区』
などに見られたような、
“敵の力を取り込んで戦力とする”
という構図は近年のSF作品に多く共通する。

諌山創さんが『第9地区』から
ヒントを得て『進撃の巨人』が
生まれたように、
敵勢力とのハイブリッド種が
活躍する話はここ数年で
一定の雛形として定着してきたように思う。

 

今作『ザ・プレデター』も
その例に漏れず、
敵であるプレデターの技術を人間が
使用しながら戦うなど、
シュワちゃんが肉体と丸たで敵を
フルボッコにしていたのと比べると
戦闘シーンに工夫が見られる。

(前作『プレデターズ』にも
人間がプレデターの技術を使用する
場面があるが今回の使用頻度の比ではない)

この工夫は、
プレデター作品そのものが、
単純な”敵VS味方”という構図では
時代に即せなくなったということを
表しているのではないだろうか。

その証拠に今回地球に飛来する
一体目のプレデタ氏はなんと
地球を他のプレデターから救う目的を
持っている。

 

過去シリーズでも
度々人間に肩入れしてきたプレデター
だったが、今作の発端となる
この一体目の行動によって、
この先のプレデター作品の趣向が
決定的に変化していくのではないか、と思う。

 

ラストのアレは、
さすがにシリーズ全体のテーマを
歪曲しかねない代物だが、
流行を意識した映画的試みとしては
ある種必然的とも言え、
個人的には面白い展開になることを期待している。

 

とはいえやっぱり詰め込みすぎ

プレデター作品にしては
登場人物が面食らうほど多い

前述した”人間側のディテール”を
描きたいあまり、
本筋にあまり関係ない人物を
クローズアップしたり、
場面転換が頻繁だったりと
観客をこれでもかと振り回す。

 

芸達者な俳優を
これだけ揃えておきながら、
どのパートも7割位の描き込みしか
しないため演技上での相乗効果が
見られなかったのが残念だ。

クインとローリーの親子関係も
あと一歩の描き込みが必要に感じられる。

 

しかしそれでも、
ローリー役のジェイコブ君は
やっぱり物凄く上手で、
彼の仕草や台詞の言い回しは
見事としか言いようがない。

自閉症という難しい役を
ここまで観客に訴えかける演技力が
あるからこそ、
クインとの親子関係の描写不足を
彼の演技が補っているのではないかと思う。

 

ジェイコブくん、恐るべきっす。

 

まとめ

今回の浮世絵付き3分映画レビュー
『ザ・プレデター』編のまとめはこちら。

・従来に比べて豊富な人間描写(ルーニーズ最高!)

・流行の”ハイブリッド型SF”を取り込み、時代に即した娯楽作となった

・人間ドラマ、親子愛、負け犬挽回もの、アクション、政府の陰謀など、要素の詰め込みすぎでやや散漫に

 

是非ご参考に!

それでは。

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