どうも、IWAっす!
今回の浮世絵風イラスト講座では
『象』の描き方を解説します。
今回も様々な浮世絵を通して
イラストの描き方を説明したいと
思うっす。
象が初めて日本に渡ったのは
室町時代の応永15年(1408年)、
足利義持への献上品として
他国から輸入された際とされています。
江戸期の享保13年(1728年)には
徳川吉宗の命により、
ベトナムから雄雌2頭の象が輸入され
長崎から江戸までの陸路を
象が練り歩くという長距離型パレード
のような珍事も起きました。
ちなみに、
僕らが思い描く実際の象さんと
浮世絵に描かれた象さんとでは
あまりにビジュアルが違いすぎます。
浮世絵ゾウさんは本当に、
あの、何かの間違いなんじゃないか
と疑いたくなるレベルで違います。笑
そんな、
浮世絵と実物の違いも踏まえながら
次の項からイラストの描き方を
解説していきます!
それでは描いていきましょー!
パオーン!
Step1:浮世絵の象さんのシワッシワな体の描き方
江戸時代の浮世絵師たちは、
現代の我々が象について思い描く
大きな耳と長い鼻という特徴を
それほど掴んではいません。
この浮世絵からも解る通り耳は小さく
鼻もそれほど太い描き方は
されていないのです。
(耳が小さく描かれているのには
実はある理由が存在します。
詳しくはStep2でお話しします。)
そのかわりに彼らが注目したのは、
シワが寄ったその体皮。
「なぜそこなんだ」とツッコミを
入れたくなりますが、
このしわくちゃのYシャツのような
肌の描き方に浮世絵風イラストの
コツが隠されています。
今回はコチラの浮世絵(錦絵)の
象さんの体格の描き方を
参考にしてみます。
まずは体の大まかなフォルムを
下描きしていきましょう!
楕円形でどっしりとした胴体に対して
頭部の比率はとても小さめです。
浮世絵の象=小顔
であることを意識しましょう!
脚は胴体を四隅で支える柱のように、
しっかりとしていてある程度の太さ
になるように意識します。
通常のイラストにも言えることですが
象さんの脚はあまり長さを出すと
体全体のバランスが崩れてしまいます。
適度に短足でキュートさが残るように
描いてみるとグッドです。
体の骨格が大体把握できたら、
浮世絵ゾウさん特有のシワシワを
描いていきます。
主に脇腹のたるみ部分と
脚の付け根、膝部分、を中心に
シワをつけていきます。
描き方としては、
布がたるんだような
重みを感じさせるシワを意識します。
シワを多く描くと、
実際の象さんとかけ離れた
若干メタボ気味の見た目に
なるかと思います。
だがそれが良いんです!!
ご覧ください、このメタボ体型を。
浮世絵では女性の顔や指が
ふっくらと描かれる傾向があります。
春画においても男女ともに
生殖器はあきれるほどリアルに描かれています。
このことから、
恐らく日本人浮世絵師の美学として、
体の肉や柔らかい部位は必要以上に
肉肉しい描き方をすることが
常であったと思われます。
そのため絵師が象さんの体皮にも
過度に着目した結果、
実物よりもシワの多い描き方に
なったのではないかとIWAは考えています。
…とはいえあまりにシワが多いと
象の原型が保てないため、
シワの数と描き方は
適度に調整すると良いです。
こんな感じで基本形は完成です!
お次は顔を描くんだぞう!
Step2:耳の描き方・浮世絵の象さんの耳が小さい本当の理由
『芸術資料. 第三期 第十二册』金井紫雲 編/国立国会図書館デジタルコレクションより出典
まずはこちらをご覧あれ。
象と言われて真っ先に思い浮かぶのは
左端の耳が大きいアフリカゾウでは
ないでしょうか?
アフリカゾウに比べて、
浮世絵に描かれている象さんの耳は
とても小さい描き方をされているのが
解るかと思います。
実はこの小さい耳の理由は、
浮世絵に描かれている象さんの
渡来元、つまり故郷に関係しています。
江戸時代に渡来した
象さんたちの品種は、
貿易相手国であるインドやオランダを
故郷とするアジアゾウだったのです。
アジアゾウは写真中央の通り、
耳が小さいです。
日本アフリカゾウの輸入は、
幕末から明治初期にかけてと
伝えられています。
ですから江戸時代中期の浮世絵には
耳の小さい象さんしか
描かれていないんですね〜ふむふむ。
ちなみにお手本にしているコチラの
浮世絵(錦絵)が描かれたのは
江戸後期。
この象さんがアジアゾウか
アフリカゾウかはこれだけでは
判別がつきませんが、
左上に“三才七ヶ月”とあるので
少なくとも耳のサイズが
発達していない赤ちゃんゾウのようです。
(恐らく耳の形からアジアゾウでは
ないかとIWAは推察しています)
なので品種は特に気にせず、
耳は顔の両側に軽く垂れ下がる程度の
大きさで描いてみましょう。
この時に
ヒダやたるみを強調するような
描き方をするとグッドです。
次に輪郭を描きます。
お手本の浮世絵を見ると、
頭頂部がやや出っ張っているのが
解るかと思います。
これは耳が小さい分、
頭頂部を強調することで
象さんの頭の大きさを表しています。
頭からおでこにかけての広さを
十分にとったら、ちょうど
耳の縦半分の高さの位置に
眼を描きます。
浮世絵内の象さんの眼は、
人間の眼の形に近い描き方を
されています。
これらを参考に眼を描き、
目尻、まぶた、目頭などに
もはやチャームポイントである
シワを足していきます。
眼を描き終えたら
両目の間から鼻筋を描き始め、
ある程度まで伸ばしていきます。
先に伸びるほど細くしていき、
先端はやや膨らませます。
鼻の内側(口に近い方)は
ややデコボコさせ蛇腹のような
描き方をするとグッドです。
鼻筋部分やカーブ部分に
シワを描くのも忘れずに!
お手本の浮世絵を見ながら、
頭全体が丸い形になるよう
アゴ部分を描いていきます。
下あごの描き方は、
前にやや突き出し気味に描き、
鼻の下に隠す様にすると
上手く骨格が表現できます。
口の両端から牙を生やして
顔部分は完成です!
最後にチャチャっと足を
仕上げますぞ~!
Step3:象さんって五本爪だったんだ!
アホみたいな見出しですが
この浮世絵を見て初めて知りました。笑
足はあまり深く考えずに
お手本の浮世絵に忠実な描き方を
していきます。
実際とてもシンプルな形なので!
かかとの部分は
やや膨らみをもたせながら描き、
地面に接する足の裏はほぼ平坦に
なるように意識します。
そして5つの爪を描いていきますが、
ここでちょっとしたコツがあります。
お手本の浮世絵からもわかる通り、
象さんの爪は基本的に
5つとも大きさは均一です。
ですが
爪を一つずつ描いていくと、
足先全体の形のバランスが
設定しづらくなります。
例えば、一つ一つを大きく描きすぎて
足からはみ出てしまったり、
最初の3つを小さく描いてしまい
あとの2本が変に大きくなってしまう
といった問題が出てきます。
そこでおすすめしたいのが、
お手本の浮世絵を見ながら
爪を含めた足全体の輪郭線を
先に描いてしまう方法です。
↑つまりこういうことです。
こうすれば、
初めに爪の位置を把握できるので
足全体をバランスよく仕上げることが
できます。
この位置に合わせて
丸みを帯びた爪を描き込み、
爪の生え際には浮世絵のようなシワを
必ず描き足します。
このシワの描き方は、
爪がめり込んでいるような
「グニュッ」と盛り上がった皮膚を
意識すると良い感じに仕上がります。
他の足も同様の描き方で進めていき、
角度や遠近感によって爪の大きさに
微修正を加えていきましょう。
こんな感じになりました。
最後に尻尾ですが、
細い蛇をイメージしながら
躍動感をだしながら描いてみましょう。
浮世絵風イラストを描く際は、
尻尾の先まで生命力が
みなぎっているように生き生きと
表現することが大切です!
これで下描きは完成です!
お疲れ様でした。
着色して浮世絵風を演出し、
象さんのイラストの完成です。
決して、
お手本と全く一緒でなくていいので
シワや耳などの特徴が表現されていれば
十分成功だと思いまっす!
パーオーン!
まとめ
それでは
象の浮世絵風イラストの描き方の
おさらいです!
・体型はどっしりとややメタボな見た目がちょうどいい!
・頭頂部は出っ張らせる。耳の面積は小さく!
・足は輪郭線を先に描いてから爪を描き込む!
いかがでしたか?
粋にいなせに描けましたでしょうか。
是非楽しんで頂ければ幸いです。
それではまた次回!
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