【浮世絵つき】『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を3分でレビュー

映画 似顔絵 マンチェスター・バイ・ザ・シー 浮世絵
こんにチェスター!
寝起きの目つきがケイシー・アフレックばりに悪いIWAっす。

本日は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の3分レビューをお届けっす!
実力派キャストを使った、静かなる傑作である今作。
しかし同時に万人に向けられた、優れた応援歌でもあります!

 

それでは3分映画レビューっす!

癒えない傷もある

主人公のリー・チャンドラーはボストンで便利屋を営みながら暮らしている。
ある日、リーは兄のジョーが心臓発作で亡くなったことをきっかけに甥の後見人となる。
生まれ故郷のマンチェスターに戻ってきた彼だったが、彼にはこの街を嫌うある理由があった。

海の様に、ただそこに静かに横たわり続ける過去に対して、如何にして決着をつけるのか。
この作品は、万人が抱えるそんな課題に対して一つの答えを提示してみせる。

今を楽しみながら生きる甥と、過去に捕らわれた主人公という対照的構図が本作の鍵となる。
暗い過去を持つリーに追い打ちをかけるが如く、彼の兄が亡くなる。
しかし、その不幸の副産物としてリーが手に入れたものは、いわば未来への希望を体現化するかのような自由奔放な甥のジョーだった。
後見人(=甥の未来を握る存在)となった主人公が下す決断が、明日への新たな航路を築いていく。

主演ケイシー・アフレックの、静謐な演技が光る。
漆黒の孤独を秘めた瞳、常にポケットに忍ばせている両手。
劇中のある人物の台詞である、
「あの人と会話が続かなくてもう限界」感をこれ以上ない程に演じ上げている。
中でも元妻であるランディ役のミシェル・ウィリアムズとの掛け合いのシーンは必見だ。
過去を受け入れ、その悲しみと痛みを涙ながらに吐露するランディ。
それと相反するかの如く、元妻の前でも感情を内に内に押し殺し続ける主人公。
この場面で2人が作り上げているものは、“人間の悲しみ表現の二極化”である。
この正反対の表現方法を同じ画面の中で、しかも名優2人の素晴らしい演技で見られるとはなんと幸福なことか。

誰に会っても、何が起きても、自分を押し殺し感情を抑制し続ける主人公。
だからこそ、ラストに彼が初めて本心を打ち明けるシーンに観客は一気に感情を揺さぶられる。
そして思わず彼を応援し、新たな船出を祝福するのだ。

過去によって未来が妨げられることなど、あってはならない。
ただし、決して癒えない傷を抱えながらでも、謳歌できる未来は確かにそこに存在している。
決して明るいテーマを扱っている訳ではない。
ただし時折挿入されるコメディチックなシーンにより、作品全体に心地良いテンポ感が生まれている。
そのため上映時間 をあっという間に感じるはずだ。
不格好でも着実に前進していく主人公の希望と絶望。
その2つを温かい視点から描き切った忘れ難き良作だ。
必見である。

今回はここまでっす!
それでは次回も楽しさ溢れっく!

 

2017.9.4

Kenji Iwasaki

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