【浮世絵付き】『キングスマン:ゴールデン・サークル』を3分でレビュー

映画『キングスマン ゴールデンサークル』 浮世絵風似顔絵 Kenji Iwasaki 岩崎健児

こんにちはIWAっす。

今回は、
『キングスマン:ゴールデン・サークル』
を和風・浮世絵風イラスト付きで
3分でレビューっす!

 

それでは早速
Manners Maketh Man!

※作品の核心に触れる記述は多め

“説得力”ましまし

前作の人類滅亡計画から1年。
英国諜報機関キングスマンのエースに成長したエグジー(タロン・エガートン)。
彼の前に裏切り者のチャーリー(エドワード・ホルクロフト)が現れ、襲撃を受ける。
激闘の末に勝利したエグジーだったが、今度はキングスマンの本拠地が何者かに破壊されてしまう。
力を失ったキングスマン一行は、アメリカの独立諜報機関ステイツマンに助けを求める。
彼らは麻薬王ポピー(ジュリアン・ムーア)の陰謀を打ち砕けるのか。

 

そもそも前作越えなど難しい。

鑑賞前から感じていた、
その予想は裏切られることはなかったっす。

前作において描かれた、
スパイ映画の定石やそれすらパロディ化してしまう大胆さ。
そしてエッジの効いたアクションとその画作りは、”本家”である『007シリーズ』を知らない世代にパンチの効いた新鮮味を与えたっす。
それにより、
スパイ映画という古典化したジャンルを
何倍にも現代的にアップデートしてみせたっす。

そして、労働階級の少年の
シンデレラストーリーという本筋
があったため万人に受け入れられる要素
が存在したっす。

“ジャンル全体に影響を与えた前作”
という激高ハードルを超えることは、
実質困難であることが多いっす。
しかしそれを差し引いたうえでも、
今作には称賛すべき点がいくつかあるっす。

 

それは前作にはなかった、

“実在感”と“哀愁”

体術戦闘シーンが目玉の今作。
中でも主演のタロン・エガートンの
近接格闘シーンが素晴らしいっす。

小柄で筋肉質、
小回りの効きそうな体から
繰り出される技の数々には画的な説得力がある。

前作よりもビルドアップしたその体型の
おかげで、彼の戦闘シーンはこの映画の
最大の見せ場と呼べるほど素晴らしいっす。

彼が演じるエグジーだけでも、
一本の映画が撮れそうなくらい
魅力的な主人公に成長した点は嬉しい限りっす。

 

もう一人の魅力的な登場人物として、
欠かすことができないのが
今作のラスボスであるポピーっす。

ある種ヒステリックで
理屈が一切通用しない相手である分、
前作のヴァレンタイン
(サミュエル・L・ジャクソン)よりも
“手が付けられない”感が非常に強く、
その狂気は観客側にも手に取る様に感じられ、ゾッとしたっす。

しかし、
彼女は麻薬王になり巨額の富を築いたが
そのせいで祖国アメリカに
戻ることができないでいる

そのため劇中で頻繁に用いられる、
『カントリーロード』=故郷に戻りたい
という思いは彼女のものであるっす。

これに気付いた瞬間にハッとさせられ、
死の間際に彼女が呟く、
「ハグしてくれない?」という台詞は
“夫”であるアメリカに
受け入れてもらえなかった彼女の悲痛な
承認欲求の現れであったと解る。

サイコパスババアの最後に
一抹の哀愁を感じさせる絶妙な演出っす。

善と悪の一線とは何か

しかしながら、
ポピーが巻き起こす麻薬戦争という事案は
今や世界中でいたちごっこが
繰り広げられている地球上の病理っす。

従って、
彼女一人が淘汰されたところで
この問題が解決することなどなく、
むしろウィスキー(ペドロ・パスカル)
の様な副次的な存在を生み出しかねない

その点に関しては、前作においての
“地球救済の為の人類同士の殺し合い”
という合理的かつハチャメチャな論理
よりも、扱っているテーマとしては深刻っす。

現実世界に通じる、
この複雑な主題を通して
“何が正義であり、何が正しいのか”
という普遍的な疑問符を
今作は我々に投げかけてくるっす。

誰もが解答に詰まるこの課題に、
「人名を救うことこそ正義」
というあっけらかんとしたスタンス
で向き合い大暴れするスパイたち。

そんな彼らの姿に、
こんな現実世界にも
まだ正義が存在するのかもしれない
と我々観客は希望を見出しているのかもしれないっす。

 

“マナーが作るんだ人間を”
(まず和訳がひどい)
という名言の空洞化や、
終盤の地雷のくだり、
マーリン(マーク・ストロング)の扱い、
ウィスキーの末路など、
許し難い点が多いのも事実ではあるっす。

ただし、前作を超えてはいないものの、
ファンを目一杯喜ばせようという
作り手の思いが感じられる作品っす。

“健闘”という言葉が似合う、
愛すべき続編となったのではないでしょうか。

 

それでは今回はここまで!
Movies Maketh IWA!

それでは。

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